The TV

The Broadcast

image003 プリズナーNo.6(原題:the Prisoner)は、Everyman Films(*1) とITC(*2)によって1967年に製作された超カルトな連続TVシリーズである。各話約50分で、全17本が放映された。
物語のプロットは実に単純で、「村」と呼ばれる不思議な監獄に閉じこめられた主人公が、いかにして脱出を試みるかが描かれる。
「村」には管理人らしいNo.2と呼ばれる人物がおり、あの手この手で主人公からアイデンティティと反抗精神を奪い去り、機密を吐かせようとする。だが主人公の脱出もNo.2の作戦も毎回失敗に終わる・・と言うのが基本的なストーリーである。
基本的に1話完結で、スパイ物、SF、サイコサスペンス、西部劇など、バラエティ豊かなエピソードが展開される。


The Era

image005 物語が作られたのは1960年代末であるため、東西の冷戦などに関する部分はさすがに古くさく感じる。しかし注目すべきは主人公(ただNo.6とだけ呼ばれ最後まで名前すら明かされない)の管理社会への徹底した反抗ぶりである。
「村」では全ての人間が、ただ便利だからというだけで番号で呼ばれている。我らが主人公は事あるごとに「番号なんかで呼ぶな!私は自由な人間だ!」と叫び続ける。
製作から長い時間を越えてこだまする彼の叫びは、管理されずには生きて行けない現代人への挑戦状ではないだろうか。


日本で最初にプリズナーが放送されたのは1969年のこと(NHK)。現在でも稀に深夜放送枠やCSでの再放送が行われる。制作から25年後の1992年にはLD(レーザーディスク)が、35年が経過した2002年にはDVDボックスが発売されるなど、今だに熱狂的なファンを生み出している。

ビデオの無い時代からファン達は「プリズナー」の映像を見るために様々な努力を重ねてきた。DVDボックスの発売でソフト入手が容易になった今、そして、以前より管理化社会への移行が進む今こそ、我々はこの作品の本当の価値を知る事ができるのではないだろうか。


(*1)Everyman Films :プリズナーの主役を演じたパトリック・マクグーハンと、プリズナーのプロデューサーを勤めたDavid Tombdtn によって設立された会社
(*2)ITC:「サンダーバード」や「スペース1999」「テラーホークス」といった特撮作品を多く手がけたイギリスのプロダクション。